コロギス——コオロギのようでキリギリスみたいな昆虫
コロギス
♪あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
きりきりきりきり こおろぎや
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
8月も中旬、虫の声がにぎやかになってきました。これから秋にかけて例年通りなら私の家の周りではコオロギやスズムシ、運がよければマツムシも聞こえてくるはずです。
良い機会なので「虫の声」の歌詞を載せてみました。
因みに7段目の歌詞は「きりきりきりきり きりぎりす」という表記のものもあります。
というのも最初はきりぎりすで書かれていて途中でこおろぎに訂正されたという経緯があるからなのです。
よく考えてみればきりぎりすは「チョン、ギース」といった擬音で表現されることが多く、とても「きりきりきりきり」と鳴くようには思えません。
最初の歌詞をつくった人はどうしてこのような歌詞にしたのでしょう?
実は昔の人はこおろぎを鳴く虫全般につかっていたそうでセミすらこおろぎだったそうです、そのなかで現在のコオロギは「きりぎりす」と言われており、現在のキリギリスは「はたをり」と呼ばれていたそうです。うーん、ややこしいですね……。
最終的には現代でも使用されている虫の名前と鳴き声で一致させるために歌詞が「きりぎりす」から「こおろぎや」に変わったと言われています。
前置きが長くなってしまいました。本題はここからです、皆さんはコロギスって見たことがありますか?
コオロギではありませんし、キリギリスでも当然ありませんよ。正真正銘、コロギス。バッタ目コロギス科です。
見た目はコオロギ似、色はキリギリス似の昆虫です。名前通りコオロギとキリギリスのあいの子みたいな恰好をしています。
もっと言うと全体が緑色で羽が茶色のコオロギにあったことはありますか?ということになります。
コオロギはバッタと違い、外部環境に合わせて色を変えることができません、なのでもしあなたが緑色のコオロギを見たのならそれは全く別の種のコロギスの可能性が高いのです。
さてそんなコロギス、どういう鳴き声なのか気になりませんか?
コオロギ寄りに「コロコロコロ」とか「りーりーりーりー」と鳴くのでしょうか、それともキリギリスみたいに「チョンギース」と鳴くのでしょうか?以外にも全く似ても似つかない声で鳴く……?
実は、コロギスは鳴けないんです。
今度ホームセンターとかで売っているスズムシやコオロギが居たらじっくり観察して見てください。実はスズムシやコオロギ鳴き声は翅(はね)で起こしています。これらの虫の羽はヤスリ状になっていて摩擦が起きやすくなっています。これを素早く振動させてこすってできる音が鳴き声に他なりません。
コロギスにも翅はあるのですが、このヤスリ状になっている部分がないため音が出ないのです。
コロギスは脚(あし)やお腹を地面に叩きつける行動が観察できます。
鳴けなくて地団太を踏んでいる……のではなく、これがコロギスの求愛表現になります。
なので「とんとんとんとん」といった音を出すのです。
もしあなたが緑のコオロギを見かけたらそれはきっとコロギスです。
じゃあその緑のコオロギが流ちょうに鳴き始めたら……?それはコロギスではなく新種かもしれません。
それでは今日はこの辺で。