水__電気を通さない液体
水__電気を通さない液体
昔のことですがお風呂で充電中のスマートフォンを使用していた女性がうっかり湯船にスマートフォンを落下させ感電死するという事故の記事を見たことがあります。
皆さんも電気製品を使用する際は細心の注意を払ってくださいね。
さて今回はタイトルの通り、水は電気を通さないというお話です。
矛盾しているように思われるかもしれませんが実は何も間違っていません、どちらも正しいのです。それでは本編に入っていきましょう。
そもそも電気が通るとはどういう現象でしょうか?
実は電子という小さな粒子の移動と言い換えることができるのです。
電子はマイナスの性質を帯びているので、電子がたくさんあるとマイナスで電子が少ない場所はプラスの性質を持つことになります。
磁石のN極、S極と一緒でマイナス同士プラス同士は反発しあい、プラスとマイナスはくっつきます。片方に電子が寄っているのは不自然なので何とかもとに戻ろうとしているという見方もできると思います。
車を開けようとしてパチッと指に刺激が走る、あれは肌が何かの理由で電子が不足しプラスの性質になっていて、金属内の電子を引き寄せた際に起こる現象です。その電子の移動によって電気が流れるわけです。暗いところで静電気が起こると一瞬光が確認できます。
これの規模が大きいのが雷です。どちらも電子の移動には変わりがありません。
さて電子の移動は電気の流れであるとすると、電気が流れる物質とは電子がある程度自由に移動できる物質だということになります。
例えば銅線や鉄線などの金属は自由に電子を移動させるので電気を通せる物質(伝導体)です。一方でゴムやガラスは自由に移動できる電子がほとんどないため電気は通らない物質に分類されます(不導体、絶縁体)。
ここで水について考えて見ます。水は化学式で書くとH2Oです。このH(水素原子)2つとO(酸素原子)1つはなぜわざわざH2Oといった形をとっているのでしょう?
大まかに言うと水素は電子が1つ足りない、酸素は電子が2つ足りない原子なのです。
もしよかったら周期表を検索して原子番号を確認して見てください、原子番号は電子の数に等しいのです。水素の番号は1、その横の並びの右端にあるHe(ヘリウム)は原子番号2です。酸素の原子番号は8、同じ列の右端にあるネオンの原子番号は10です。実は同じ横並びの列(周期と言います)の右端にある原子はその周期で電子が最も丁度良くそろい安定した状態(基底状態)を示しています。
酸素原子はあと2つ電子が欲しい。
水素原子のそれぞれは、あと1つ電子が欲しい
この問題を解決するために自然がとった方法がシェアでした。
酸素から見れば水素2分子から電子を2つ貸してもらって電子は10つの状態。
各水素原子から見れば酸素に1つずつ電子を貸してもらって両方とも電子2つの状態。
こうすればみんな安定して存在できる……、このような結合の仕方を共有結合と呼びます。
このような都合からH2Oは存在しているのです。
ただでさえ足りない電子をシェアによって解決しているため、外に回せる電子が存在しないのです。よってH2Oは電気を通せないということになります。
ではどうしてお風呂では電気が流れたのでしょうか?
実は自然に存在している水は必ずと言っていいほど何かが溶けています。
金属やミネラル……などそういうものが、水の中で電子の移動を行っているためまるで水自体が電気を通しているように見えるというわけです。
実際に不純物を除いた水(超純水)を人工的につくるとは電気を通すことができません。
今日はこの辺で失礼します。
おまけ
文部科学省が「一家に1枚」シリーズとしてPDF版の元素周期表を無料で配布しています。
他にも色々あるみたいですのでよかったら覗いてみてください。