キソウテンガイ__唯一無二の奇想天外な植物

キソウテンガイ_唯一無二の奇想天外な植物

 

珍しい名前の植物は数多くあれども、ここまで直球の名前も珍しいのではないでしょうか?

アフリカ南西部の砂漠に自生する裸子植物で、ナミビアの国花でもあるWelwitschia mirabilisは、その珍しさからキソウテンガイの和名をもっています。

一体何が奇想天外なのでしょうか?今回はこの植物を紹介していきたいと思います。

 

●葉っぱが2枚だけしかない

植物と言えば通常は青々と葉の生い茂った状態を想像するのではないでしょうか。

ところがキソウテンガイ子葉が出た後はたった2枚の葉で生涯を暮らすのです。

写真によってはそれ以上の葉があるように見えますが実は根元で繋がっているため、実際には2枚です。

葉は年々伸びていき中には4mを越してしまうこともこうなると葉っぱだけで直径8メートルの大きさになってしまいます(※一説によると一枚の葉だけで7mを超えているものあったらしいです。)

こうなると世界最大の葉をもつとされるオオオニバス(直径3メートルの丸い葉っぱになる)よりも長さがあるということになります。

世界最大の花をつける植物においても横の大きさのラフレシア、縦の大きさのショクダイオオコンニャクが容認されているのなら面積は小さくとも長さのあるキソウテンガイも最長の葉を持つ植物に名のりを挙げてもいいのではないかと思います。

 

この葉っぱには気孔という呼吸や水蒸気のやりとりを行う穴が両面にあり、根から吸い上げた水分を蒸発させ砂漠の厳しい環境に適合しているようです。

カラカラの砂漠で水分を集めるために、地中深くまで根を張るのですが一説には10メートル以上も根を伸ばすと言うから驚きです。

 

●花をつけるまでに25年もかかる。

キソウテンガイは寿命の長い植物でもあります。

その寿命は1000年を超えるとも言われているそうで、その特徴のひとつに成長が遅いということがあげられます。

花をつけ種子をつくるのには25年ほどもかかるそうです。桃栗三年柿八年と言いますがキソウテンガイの25年は破格の長さです。栄養のない砂漠でじっくりと準備をしていくわけですが、焦らず気長にチャンスを待っているのですね。

ちなみにキソウテンガイは雌雄異株(しゆういしゅ)です、つまり一本ごとに雄か雌かの区別があります。

雄の株には雄花(おばな)だけ雌の株には雌花(めばな)だけがつき、雄花からの花粉を雌花が受粉することで種子をつくることができるわけです。

 

ナミビアの国花として

ナミビアの国章にはサンショクウミワシ、オリックスに続いてその下に緑色の植物が描かれていますが、これがキソウテンガイです。

砂漠の中でも力強く生え、長い寿命を持つキソウテンガイは「生存・不屈の精神」を意味するそうで、ナミビアの国花にも選ばれているほどです。

 

キソウテンガイは1科1属1種で類似した植物が見つかっておらずまさに唯一無二の植物のようです。日本で最初にこのキソウテンガイの名は園芸職人の石田兼六氏が1936年に命名したとされていますがこれは学名であるWelwitschia mirabilisから来ています。

Welwitschiaはこの植物を発見した博士の名前、そしてmirabilisは驚異のという意味です。海外で発見されたその瞬間から驚きをもって迎え入れられた様子が伝わってきます。

 

このキソウテンガイなんと日本でも見ることができます。

京都府立植物園では今でも元気な姿が確認できるそうです。いつかこの眼で見てみたいものです。

 

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