知識のバラバラ_はじめに

知識のバラバラ__はじめに

世の中は今、情報社会である。
昔に比べて情報通信技術は日進月歩の勢いで進化し、
遠く離れた地域の出来事もネット上でリアルタイムで知ることができる。

その一方で世の中は情報に溢れ、
情報過多社会と言っても良いような状態になっている。
ネット上での情報は全てを見るにはあまりにも多く、誤ったものも散見される。
せっかく幅広い情報が見られるのに偏った情報ばかりが集まってしまうこともある。

世の中の知識は「点」を中心に動いている。
小さな情報が大量に更新されネット社会を作り上げていく。
昔の活版技術の頃では考えられないようなスピードで構成されるそれは早さゆえに
精度が低くなることも十分にありうる。

本ブログの目的は世の中に散らばる知識の「点」を集め、バラバラになった本質「線」を見出そうとする試みである。

 

ではこの「点」と「線」とはどういうことか、具体例を出してみよう。
風が吹けば桶屋が儲かる」と言う言葉がある。
新明解国語辞典によれば、
ある出来事の影響がめぐりめぐって思いがけないところに及ぶことの例えとある。
一方で大辞泉ではあてにならない期待をすることの例えともある。
一見真逆の意味の意味に見えるがどういうことだろうか?

風が吹くという出来事と桶屋が儲かるというのはそれぞれ起点と終点である。
これだけでは一体何が起きてこの流れが起こったのかは分からない。
結果、どうしてこれが思いがけないのかも実際はわからない。
この空白の部分を当たり前とせず意識しようというのが、
「線」つまり本質を意識するということである。
さらに意識した後はなぜかというところを推測したり、調べたりして埋めていく。
こうして確実な「点」をしっかりと補ったうえで、それでも残った空白を埋めていく。

今回はきまり切ったフレーズなので答えが存在するが、
時にはしっかりとした答えの出ないものもある。
しかし、世の中に答えがあるある方が珍しいのでそういうときこそ自分なりの
考えを構築する必要がある。

さて大辞泉に詳しい解説が乗っているので「風が吹けば桶屋が儲かる」という全容を見ておこう。
風が吹く→土埃がたって目に入り盲人が増える→盲人と言えば三味線を弾いて生計を立てる→三味線の素材で猫の皮がたくさん必要になる→猫が減る→ネズミが増える→ネズミは桶をかじる→桶の代わりを買う人が増える……。
とまあ、このような流れであった。
こうしてみるといかに現実離れした考えかが分かって面白い。
大体砂埃がまうからと言って目が見えなくなるという、
最初の前提からして実に大げさと言ってよい。

明鏡国語辞典では起こった場合のことを考えておりポジティブである。
大辞泉では起こらないことを想定した場合の考えで、
あてにならない期待をすることのたとえになっているのだろう。
とすればこちらはネガティブである。

同じ点を並べても解釈の違いがある。
これはとても重要なことで同じ情報を並べても行き着く先が同じとは限らない。
世の中の動きはこの点を冷静に見つけたうえで、
どのような意図で線を引いたかが重要になってくるのである。

余談として……、
盲人が三味線を弾くと言うのは、
平家物語を歌った琵琶法師のように当時は珍しくなかったらしい。
また今でも三味線の皮には犬や猫の皮が使われているようである。
線を引く際に、このように個々の点をつぶさに眺めるのも楽しみの一つでもある。

以上が簡単なガイダンスである。
本ブログでは様々な内容に切り込んでいく予定である。
故に決まったテーマと言うものが見えにくいが、目的は明快である。

バラバラになった知識の「点」から全体の流れ「線」を見出す。

気になる内容の項目をつまみ食いしていただければ大いに結構である。
すべての項目はこの目的に集約されているはずであるから。