ハト 医者顔負けの乳がん診断能力を発揮

ハトは日本でも見られるごく一般的な鳥です。

他の鳥に比べて筋肉質なその姿は鳩胸なんて言われたりもします。

また時計の中にも鳩時計なんてものもありますね。とはいえどう見ても出てくるのはハトではなくカッコウなのですが。

 

そんなハトですが2015年、カリフォルニア大学の研究グループが非常に興味深い実験結果を報告しました。それがハトは組織写真を見て乳がんがあるかないかをかなりの高確率で見分けることができるというものでした。

15日間の訓練だけで平均85%の正答率と言いますから、このまま行くとどうなってしまうのかと言う期待が残る結果だったようです。

 

乳がんの病理学サンプルが使用されたとあるのですが、要するに病変がありそうなところを切り取って薄くスライスしスライドガラスにくっつけたものです。場合に応じて色を付けて確認がしやすくします。

 

今回紹介した記事だとハトが見ているのはピンクや紫色の組織片だったのでHE染色なのではないかと思います。HE染色では細胞核は青紫色、繊維、細胞間質はピンク色に染まります。

分かりやすいものもあるのですが、素人では何が病変か見落としやすいもの、分かりにくいものもあるためかなりの技術的な訓練が必要になってくる分野です。

 

そんな専門的な技術をハトがこなしてくれるかもしれないんですね。

この実験は乳がんがある写真と乳がんがない写真をランダムに見せていきます。

画面上にはその写真の他に、青色と黄色の四角が表示されています。

そして乳がんありと判断した場合は青色を、なしと判断した場合は黄色の四角をつついてもらって正解した場合にのみ報酬としてエサが出てきます、という非常にシンプルな実験です。

 

8羽のハトが参加し結果的に15日間で平均85%の確率でガンを識別できたわけです。

さらに特筆すべきはその後特に成績の良かった4羽をさらに訓練していき、30日後の時点で同様の実験をしたそうなのですが、そこで平均99%の正答率をたたき出しました。これは文句なしの診断精度だと言えます。

 

ただ実際の医療現場にハトが導入されたという話はなく、あくまでハトの視覚能力を確認するための実験だったようです。

近年はこういった病理学的なサンプル写真やX線写真での病変識別はAIの仕事にとって代わられるのではないかと言う話も出ていますが、そんな機械をライバル視しているうちに気づいたらハトに取って代わられてしまったなんて未来もあるのかもしれません。

動物はテクノロジーを使えないという風に思っていましたが、それは動物がテクノロジーに接点を持たないだけであって今回の実験のように何らかの働きかけがあれば人間顔負けの専門的な能力を発揮する可能性は他にも大いにありそうな気がします。

 

それではまた次回お会いしましょう。