ドーナツの穴を残して食べられるのか?

ドーナツが安く売っていた。

山崎製パンのケーキドーナツ。プレーンとココアが二つずつの計四つ。

 

ドーナツの穴だけを残して食べるにはどうすればいいという有名な問題があると知り、私も考えてみる。

 

さて、そこでまず気になったのだけれどもドーナツの穴はどこからだろうか。もっと言うとどこまでだろうか。

ドーナツの端をとって視力検査で使うランドルト環のようにしてしまえば、もうそこには穴がない。だからつながった管が最低でもひとつないと穴は存在しない

これと同じような構造になっているのが消化管の問題だ。実は口から始まって食道、胃、小腸、大腸、肛門と抜けていく部分は一見すると体内に思えるが、これもドーナツの穴と同じで全部外側ということになる。

こういった全く違うと思われるものを内と外の区別だけで分類していく数学の分野をトポロジーという。この法則を用いると取手が一つついたマグカップもドーナツや人間の身体と同じものに分類される。取手部分の空間がドーナツの穴や食道と同じような役割を果たしているのだ。

 

さてそれでドーナツの穴をどう捕まえるかという問題だが。

先ほども言ったようにドーナツの穴はそもそもドーナツの外を意味しているため際限なく広がってしまう。つまりドーナツを取り囲む空間すべてが穴そのものなのである。故にこれをそのまま捕まえようとすると地球どころか宇宙のすべてをひっくるめないといけなくなる。これはどだい無理な話だ。

そこでドーナツの穴を制限することが絶対条件だ。そこで完全に密閉された空間にドーナツを入れてしまう。これで外側はこの空間内に収めることができる。これをもってドーナツの穴を規定の範囲内にまで狭めることができるはずだ。

 

ここまで進めていくと答えはおのずから明らかだ。人間とドーナツが入る密室を用意し、その中でドーナツをいつものように食べてしまう。

ここまでの話で行けば空間そのものがドーナツの穴と同義だったのだから、私が密室を破らない限りこの閉じられた空間こそがドーナツの穴なのだ。

ただし誰かが扉を開けようものならドーナツの穴は宇宙の果てまで広がっていく。刻一刻と膨張する宇宙とドーナツの穴が一緒になってしまう。これではドーナツの穴は永遠に定まらない成長する存在と化してしまうことになる。故に必要なのは密室と私とドーナツ。そしてそれを見届けて証人になってくれるあなたということになる。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。