マーズ・クライメート・オービター とんでもない勘違いで火星に堕ちた探査機

水・金・地・火・木・土・天・海・冥……。

今では冥王星は惑星から外され準惑星と言う分類になっているそうですが。

ちなみに準惑星とは「惑星以外の天体の内、自身の重力によって球形をつくれるもの」となっており冥王星を含めて5つあります。

その他はケレス、エリス、ハウメアマケマケと言うそうです。イースター島に伝わる創造神から名前をとっているのですが、マケマケって何か可愛い名前をしていますね。

まだまだ宇宙には色々な知られざる世界が広がっていますが、日進月歩の技術によって宇宙の謎も少しずつですが解明されて行っているようですね。

 

今回取り上げるのはマーズ・クライメート・オービターです。

1999年当時NASAは火星探索に力を入れていました。このマーズ・クライメート・オービターもそんな肝いりの計画Mars Surveyor 98 Since のために設計された最新鋭の探査機だったわけです。

大気の二酸化炭素濃度と水分量を測定し、火星の気候変化を分析するという任務が課されていました。

 

打ち上げは無事成功。航路も問題なく火星へと接近していきます。

問題が起きたのは火星の軌道に入る時でした。宇宙船で問題が起こりやすいのは着陸時です。燃料が限られた探査機は最小限の動きで、慎重に着陸されることが要求されます。

一度軌道に入れば同じコースを燃料なしに巡回することができ、そこを起点に着陸の態勢を整えることができるのです。

 

本来マーズ・クライメート・オービターは高度140~150㎞の軌道に入るはずだったのですが、何故か高度57㎞と言う非常に低い位置に入ってしまいます。

 

高度が低いとどうなるでしょうか。

流れ星は光っていますが実はあれは大気圏に突入した際に空気にぶつかることで熱が生じ炎上した状態です。また地球の中心に近くなるほど重力がかかるため、中心に引っ張られてしまいます。

地球ほどではないですが火星にも大気があります。結果マーズ・クライメート・オービターは大気による抵抗を受けて搭載機器が故障してまいました。最終的に通信が途絶えその後の行方が分からなくなってしまいました。

 

事故が起こった後NASAはどうしてこのようなことが起きたのか調べたのですが、驚いたことにメートルとヤードを取り違えた人為的なミスであったことが明らかになりました。

探査機はデータをメートル法で伝えてきていましたが、それを受け取ったNASA地上局はヤードで計算し軌道の修正を行っていたのです。修正するごとに火星と探査機の距離は予定よりも狭まっていきます。探査機は「このままだと軌道が低すぎる」と言う信号を送っていたそうですが、そのまま続行されてしまったようなのです。

 

私も学生時代に化学や物理学で単位を合わせるのに失敗したことがありましたが、プロでも油断は禁物ということですね。しかもこの計画は億単位の資金がつぎ込まれていたそうで、それが単なる計算ミスで探査機ではなく、お金が吹っ飛んだとなると考えるだけで心臓が苦しくなりそうですね。

 

計算式を見直すときは「マーズ・クライメート・オービター」を思い出してみてください。あなたの数式大丈夫そうですか?数億が飛んで行ったりしませんか?

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。