ササクレヒトヨタケ 一日後には黒く溶けてしまうキノコ
寒さも際立ち鍋物の美味しい季節になりました。
シメジやエノキ、シイタケなど独特の歯ごたえや風味が色を添えます。
食物繊維やビタミンB群も豊富なので健康にも良さそうです。
キノコには不思議な特徴を持ったものがたくさんいます。
ふと考えるとキノコって以上に尖った特徴を持った存在が多い気がします。
大体必要以上に美味しいものが多く、そうかと思うと毒性の種類も非常に豊富だったりします。神経作用をもつものあれば消化器系に異常をもたらすものも居ます。
色や見た目も美術品のようで図鑑を見ているだけでかなり面白いです。
ベニテングダケのように目を引くような毒々しい色を持っているものがいたり、その一方でソライロダケのように思わず目を引くようなきれいな色をしていたりします。
他にも発光性をもつヤコウタケ。そして今回紹介する一日で真っ黒な液体になって溶けだしてしまうササクレヒトヨタケなんてものもいます。
ササクレヒトヨタケはハラタケの仲間で白色からベージュ色をしたキノコです。傘の部分は長く卵のような見た目から傘が開いていきます。
それだけだと地味なキノコで終わってしまうのですが、このキノコは開いてから一晩で傘の端がどんどんと黒ずんで液体になってしまい、最終的には柄の部分だけを残して姿を消してしまうという不思議な特徴を持っています。
最終的にはインクのような見た目で元々それがキノコであったと想像することができないほどの変化です。
『菌類が世界を救う』(マーリン・シェルドレイク著)には多くのキノコに関する様々な面白い話が載っています。その中で作者がササクレヒトヨタケのインクでササクレヒトヨタケを描いたイラストが載っていました。
絵も描けるとは想像以上に真っ黒な液体になってしまうことが分かりますね。
溶けてなくなってしまう前にいただいてしまうそうで、図鑑にはカサが開く前の幼菌を油でいためたり、汁物やグラタンにして食すとあります。
ただ注意しないといけないのは似た特徴を持ったキノコにヒトヨタケがいるのですが、これは有毒です。コプリンという成分が含まれているのですが、アルコールを飲んだ際に生じるアセトアルデヒドの分解を阻害してしまいます。結果頭痛や発汗、呼吸困難、痙攣などがでてしまうそうです。
見分けるのには傘がささくれているかどうか。
一方のヒトヨタケはそういった特徴はありません。
とは言え不安がある時は食べるのは見送った方が良いでしょう。
お酒さえ飲まなければとも思うのですがどうなのでしょうか?
一度インクを作って自分も何か描いてみたいものです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。