ハルキゲニア① どっちが上でどっちが下!?古生物学者も頭を抱えた生物

古生物はお好きでしょうか。

古生物とは遠い過去の時代に存在していた生物のこと。

主に生存していた地質時代によって分類されます。代表的な地質時代と言えばジュラシックパークのタイトルにも使われた中生代ジュラ紀だったりするでしょうか。ちなみに現在は新生代の第四紀、完新世ともいわれています。

ドイツ人化学者パウル・クルッツェンとアメリカ人生態学者ユージン・ストーマーは現在をさらに人新世(ひとしんせい、じんしんせい)と呼んではどうかとも言っています。人が地球へ与える影響が大きくなりすぎたという時代区分ですね。

 

さて古生物ではそのほとんどが化石から発掘された生物の痕跡を元に知見を集めていきます。残りやすいのは骨や固い部分で他は崩れたり腐ったりして残っていないことがほとんどです。なので古生物学者は数少ないヒントからその生物が一体どのような暮らしをしていたのか、どういう姿であったのかを推理しなくてはならないのです。

細心の注意を払ってこの予想はなされるのですが、それでもその推測や仮説が間違っていることはざらにあります。新しい発見によってそういった仮説は少しずつ正しいものへと更新されていくのです。

 

そんな古生物の中でもとりわけ学者たちを翻弄したのが今日紹介するハルキゲニアと言う古生物です。全体の復元図があったにもかかわらず最初に「これで行こう」と言われた姿から前後どころか上下まで変わっていったというから驚きです。

 

ハルキゲニアは5億年ほども前のカンブリア紀に生息していた古生物です。

カナダのバージェス頁岩から発掘されました。この場所は当時はまだ知られていなかった生物の化石が一斉に見つかった場所で今までの生物とは明らかに異質で奇妙な生物がたくさん出てきました。その中でもひときわ異彩を放っていたのがハルキゲニアだったわけです。名前もhallucinatio(幻覚)に由来します。

 

その姿ですが全長は1cmから5cmほどの大きさです。説明が難しいのですが、細い身体なので……まずは足のないミミズを想像してください。

そこで一方に7対の突起を生やします。こちらの突起は先が鋭利です。

そしてその反対側に10対の突起を生やします。こちらは最初の3本は短くひょろひょろしており、その他は長めで先にかぎ爪があります(種によっては爪はなかったりします)。それだけの生物ですがこの上下反転しても左右反転してもなんとかなりそうな姿は学者たちを幻惑させたわけです。

 

長くなりそうなので、続きます。