ハルキゲニア② どっちが上でどっちが下!?古生物学者も頭を抱えた生物

この記事は

takenaka-hanpen.hatenablog.com

の続きです。前半がまだの方はこちらをご覧ください。

 

それではハルキゲニアの変遷を追っていきましょう。

1970年代になると新しい属としてハルキゲニアの名前がつきます。実はそれまでは既に存在していたカナディアの仲間だと思われていたのですね。ここから奇妙なハルキゲニアの姿の予測が始まります。

7対の鋭利な方を下にして、10本の触手を上手く使って口に食べ物を運ぶと考えられていました。どうしてこうなったかと言うと化石の状態が悪く10対あったはずの触手が1本ずつが10個並んでいると思われていたためです。

妙に尖った足だけど、さすがに10本の触手が下ではないだろうと予想されていたわけですね。身体の先端には丸い方と細長い方があったのですが丸い方を頭としておりました。

 

すると1990年代、中国で仲間の化石が新たに発見されました。すると背中だと思っていた方の触手は対になっていることが分かりました。よく見ると爪もあるし、じゃあやっぱりこちらの方が脚に見えるということで上下が反転します。

それどころか発見された化石には頭部の丸い部分がなかったため、以前発見された化石で頭と言われている箇所に疑問が出始めます。

最終的に2015年に今までしっぽだと思われていた部分に目がついていたり、歯の痕跡があることが判明しました。

 

つまりハルキゲニアは発見当初の予測とは上下反転、前後反転と言う姿が正解であったことになったのです。

ここまで姿が変遷しているのはまさにハルキゲニア(幻惑と言う名前)の面目躍如であったと言えるのではないでしょうか。

 

カンブリア紀はハルキゲニアだけでなくオパビニアやアノマロカリスなど一目見たら忘れられないような造形をした生物の宝庫です。今までの進化の法則を無視したかのような創造性豊かな生物相からカンブリア爆発と呼ばれたりします。

深海図鑑などが好きな方は古生物学は非常に面白い分野だと思います。多くが絶滅してしまったのが残念です。

 

おすすめの本のリンクを貼って終わりにしたいと思います。

ありがとうございました。

 

出典:『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』土屋健著 p.65

●『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語』スティーヴン・ジェイ グールド著。リンク:https://amzn.asia/d/fRkBeKx

意味が分からない生き物群がいかにして見つかり受容されたのかを追える古典的だけど色褪せない名著。

 

●『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』土屋健著。リンク:

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新書なのだがカラーで美しい。今でも海に潜れば会いに行けるのではと思えるくらい没頭性があった本。古生物の最新の知見?が得られるのも嬉しい。最近新生代篇が出た、もちろん買った。