ロクロクビオトシブミ 妖怪の名前をもらった昆虫

皆さんはオトシブミと言う昆虫をご存知でしょうか。

漢字で書けば落とし文となります。辞書を見てみますと何やら言いにくいことを書いて人目のないうちに落っことしておくと言った少し後ろめたい印象の言葉のようです。

何とも殺伐としていますね、脅迫や風刺など警察が動きそうな内容です。こんな名前を付けられた虫なら毒でもあるのかと思ってしまいますが。

実はこれは現代の意味で当時は違いました。この言葉の由来から見ていきましょう。

 

元々は落首という言葉がありました。らくしゅと読みます。

この首は「百人一首」のように和歌を数えるときの言葉です。つまり和歌などを壁や紙に書いて人目の付くところに置いて名声を得ようとする行為のことだったそうです。

今でいうyoutubeなどのインターネットで作品を公開するようなものでしょうか。

これが後に愛を伝えるようになると落文(おとしぶみ)、相手をなじるような内容のものが落書(らくしょ)と言う風になったそうです。

これが今では落文も落書も区別なく悪い意味で使われるようになったというわけですね。オトシブミになった名前の由来は恋文のほうであって欲しいのですが実際どうなのでしょうか?

 

さてこのオトシブミですが実は卵を葉っぱに産み付けるのですが、その際に丁寧に葉っぱを折りたたみます。全身を使って我が子のためのゆりかごを作るのです。さらにオトシブミの仲間には葉の付け根を口で切り落としてしまうものも居ます。この葉っぱの形が巻いた手紙、つまり落とし文に似ているので名前が付きました。思わず空けて中身を見てしまいたくなるような可愛い形をしています。

孵化すると内側からその葉を食べて幼虫が成長しますので実際には開けてはいけません。そっとしておいてあげましょう。

 

さてそんなオトシブミの仲間にロクロクビオトシブミが居ます。

そうあの妖怪の「ろくろ首」です。

実際に見てみるとこれが信じられないくらい首(実際は頭の付け根)が長いです。妖怪の名前に負けていない立派な首をしています。首だけでその他の部分の3倍以上もあり三味線を連想するような姿は現実離れしています。

オスだけが長くメスは普通のオトシブミです。一説によれば首が長いほどモテるそうで命を懸けてお洒落をしているようです。

 

一度現物をこの目で見てみたいものです。

『とんでもない甲虫』丸山 宗利 著、福井 敬貴 著
表紙の左上がロクロクビオトシブミ。



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