ハネジネズミ 限りなくネズミに近い姿のどちらかと言えばゾウに近い生き物
皆さんは世界最小のゾウをご存知でしょうか。
それはボルネオゾウです。ボルネオピグミーゾウとも言います。
ちなみにこのピグミーとはホメロスの書いた『イリアス』に出てくる小人族ピュグマイオイに由来します。肘から指先までの大きさおよそ35cmほどの大きさしかなく、冬が来れば鶴と死闘を繰り広げていたそうです。
今でも小人の代名詞として使われ動物だと他にもピグミーマーモセットがいます。
さてボルネオゾウですがボルネオ島に生息するアジアゾウの一種です。その大きさはアジアゾウの7割ほどの大きさです。とはいえやはりゾウ、4トンほどにもなるそうですからアジアゾウの中では小さいと言ってもやはりその大きさは目を見張るものがあります。
というわけで今回はもっと小さいゾウはいないかなと探していたら興味深い生き物に当たりましたのでご紹介いたします。限りなくネズミに近い姿のどちらかと言えばゾウに近い生き物であるハネジネズミです。
何を言ってるんだと思うでしょうからまずは画像をご覧下さい。
つぶらな瞳に、長い口吻、細くて伸びた尻尾、丸くてかわいらしい耳……。
大きさは種類によってばらつきはあるそうですが17cmから30cmとドブネズミ程度の大きさです。
見まごう事なきネズミなのですが、ネズミとはだいぶ前に進化の過程で分かれています。
胎盤がある生き物を大きく有胎盤類と分類します。そしてネズミはその中の北方真獣類の中でさらに枝分かれした先のげっ歯類です。ちなみに人間も北方真獣類の中に居ます。
その一方でこのハネジネズミはアフリカ獣類の仲間になります。アフリカ獣類にはゾウやジュゴン、ツチブタなどが分類されています。
そういった観点から見るとこのハネジネズミは遺伝的に考えるとネズミよりもはるかにゾウに近いのです。
つまりネズミとハネジネズミは先祖は遠い昔に進化の道筋を違えたはずだったのですが、長い年月を経て同じような答えにたどり着いたことになります。こういった別の系統の生き物が似た特徴を持つことを収斂進化と言います。
例えばモグラの手とオケラの手が同じようなスコップになっていたり、ハヤブサは昔はタカのような猛禽類と分類されていましたが、今ではオウムの仲間になっていますがこれも収斂進化の一種です。
こうしてみると遺伝子の柔軟性には驚かされます。
ふと当たり前に見ていた生き物が実は予想もつかないようなバックボーンを持っていることだってあるかもしれないというわくわく感を感じますね。
実は人間のふりをしていたけれど人間じゃなかったなんてSF展開もあり得てしまいそうで、ここまで行くと怖いかも。
読んでいただきありがとうございました。