アリによく似た生き物② アリガタハネカクシ

アリによく似た生き物として前回はハエトリグモの仲間であるアリグモをとりあげました。 今回も見た目がアリによく似た生き物であるアリガタハネカクシを紹介します。 アリはハチ目アリ科の昆虫ですが、アリガタハネカクシはカブトムシやカミキリムシが属す…

アリによく似た生き物たち① アリグモ

部屋の窓を開けようと近寄ってみると、見慣れた姿の虫が窓を這っているのが目につきました。黒くて丸い団子が三つ連なったような姿に、頭ほどもある触覚は直角に折れ曲がっています。このアリ困ったことに隙間から内側に入り込んでしまったようです。ティッ…

『生命科学者たちのむこうみずな日常と華麗なる研究』(仲野徹)を読みました。

『生命科学者たちのむこうみずな日常と華麗なる研究』仲野徹、河出文庫 自らも大学の教授、研究者であり、無類の伝記好きと言う著者が生命科学者を中心に18人をセレクトした解説書です。 章は4つに分かれていて、「第一章 波乱万丈に生きる」では野口英世、…

江戸時代憧れの口紅は緑色だった!? 笹紅色

谷崎潤一郎の『陰影礼賛』の感想を書いたのですが、その中に気になる記述がありました。それは「そして私が何よりも感心するのは、あの玉虫色に光る青い口紅である」と「古人は女の赤い唇をわざと青黒く塗りつぶして、それに螺鈿を鏤めたのだ」という表記で…

青空文庫読書日記③ 感想『陰翳礼賛』谷崎潤一郎

はじめに 今回は谷崎潤一郎です。有名な作家の一人なのですが、いつか読もうと思っていても、なかなか手に取る機会がなく、ここまでずるずると引っ張ってきた作家でもあります。ブログに書くという理由をたて谷崎作品デビューとさせていただきます。 今回は…

永遠の命への一つの解答 ベニクラゲ

生き物が避けては通れない問題のひとつが死です。 ガラパゴスゾウガメやホッキョククジラなど100年を超す寿命を持つ動物がいたとしてもしても最終的には生命活動は終わり、細胞同士の連帯は崩れていき、分子や原子といった要素にまで還元されていきます。 不…

犀角 江戸時代のユニコーンはサイだった 

昨年、マイコプラズマ肺炎を患い一週間ほど高熱と痰に苦しみ病床に臥せりました。幸い原因が分かり抗生物質が投薬されてから急速に回復しました。時代の恩恵を感じつつ、最近猛威を振るっている新型コロナウイルという未知の病原体との戦いの行方を案じてい…

矛盾 韓非子は何を伝えたかったのか?

矛盾 韓非子は何を伝えたかったのか? 戦国時代のこと、楚の国の商人が盾と矛を売っていた。 商人は盾を指し「この盾はどんなものでも突き通せない」というや、矛を見せ「この矛に貫けないものはない」という。 それを見ていた客が「それじゃあ、その矛でそ…

クマノミ_ニモが絶滅してしまう?

クマノミ_ニモが絶滅してしまう? ディズニーの映画2003年公開の『ファインディング・ニモ』は人間の手に渡ったニモを助けるため、ニモの父マリーンと忘れっぽいナンヨウハギのドリーが様々な冒険をする物語です。 ところでニモは一体何という種類の魚かご…

青空文庫読書日記② 感想『桜の樹の下には』梶井基次郎

青空文庫読書日記② 感想『桜の樹の下には』梶井基次郎 本日は梶井基次郎の『桜の樹の下には』を読んだ感想です。高校の教科書で『檸檬』を見て以来大変気になっていた作者でした。丸善の地味な配色の画集達の中で燦然と輝く檸檬、しかもそれが爆発するぞ、と…

心拍数1000回、世界最小の鳥 ハチドリ

心拍数1000回、世界最小の鳥 ハチドリ 小さな鳥と言えばメジロやスズメ、ウグイスなどが日本ではメジャーでしょうか。それでもメジロは全長12㎝ほど、スズメは14㎝、ウグイスはオス16㎝、メス14㎝ほどあります。 今回紹介するのは全長が親指ほどの4~6㎝しか…

ナメクジ 貝殻を失くした巻貝

ナメクジ 貝殻を失くした巻貝 梅雨に入りじめじめとした天気が続くと、いつもは植木鉢の下でひっそりと暮していた生き物たちが、今だと言わんばかりに外出しているのを目にします。 例えばプランターのシソには、てかてかと輝く跡があります。これを辿ってい…

ピンノ 貝の中で悠々自適な引きこもりライフ

ピンノ 貝の中で悠々自適な引きこもりライフ あさりのお味噌汁を食べていると、貝の中に小さなカニが入っているのを見かけたことはないでしょうか。白みがかった姿、脱皮したてのような柔らかい甲羅、可愛らしい?瞳。昔、親からは「アサリが食べたカニが入…

青空文庫読書日記① はじめに

青空文庫読書日記① はじめに 日本には古典として価値のある名高い本がたくさんあります。 夏目漱石、芥川龍之介、太宰治などの純文学、岡本綺堂や吉川英治、山本周五郎などの歴史小説、推理小説では小栗虫太郎、江戸川乱歩や浜尾史郎など、詩を読みたいとき…

庭の隅からお送りいたします。⑧ヒヨドリについて

庭の隅からお送りいたします。8.ヒヨドリについて 庭からお送りいたします⑨ヒヨドリ 初めて動物を見たとき、それに名前を付けようとすると鳴き声や見た目の特徴が最優先されている気がします。他の生き物と区別するために名前を付けているわけですから相手に…

眠れない夜は哲学書を読もう③『短い生について』セネカ

眠れない夜は哲学書を読もう③ 「生の短さについて」セネカ 使用したテキスト 『生の短さについて』 セネカ著、大西英文訳 作者について [前4~後65]ローマのストア学派の哲学者、政治家、劇作家。スペインのコルドバ生まれ。皇帝ネロに使えたが、のちに謀反の…

眠れない夜は哲学書を読もう②『老年について』キケロー

眠れない夜は哲学書を読もう②『老年について』キケロー 使用したテキスト 『老年について 友情について』、キケロ―、大西英文訳、講談社 この中から『老年について』をとりあげました。 作者について [前106~前43]古代ローマ随一の雄弁家・政治家。執政官の…

やる気を出させる寄生虫? トキソプラズマ

やる気を出させる寄生虫? トキソプラズマ 寄生虫にはいくつかの種類の動物を経由して生活するものが居ます。 最終的に卵を産み次世代を残すことが可能になる宿主を最終宿主、途中で成長や休眠をして機会を待つ際の宿主を中間宿主と言います。今回ご紹介する…

計算できる馬!? クレバー・ハンス

計算できる馬!? クレバー・ハンス 1904年、ドイツはある馬の話題で持ちきりでした。 その名はハンス、この雄馬は飼い主であるフォン・オステン(元中学校の数学教師)から教育を施された結果、四則演算に加え、時計の読み方、カレンダーの読み方を理解するよ…

明治時代の白人落語家 快楽亭ブラック

明治時代の白人落語家 快楽亭ブラック 落語はもともと落ちのある話ということでその名がついたそうです。江戸時代初期に安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)が始め現代まで続いている日本の伝統的な演芸のひとつですが、最近では桂三輝(サンシャイン)さんやダ…

庭の隅からお送りいたします。⑦寒い冬を越すためのロゼッタ

庭の隅からお送りいたします。7.寒い冬を越すためのロゼッタ 木枯らし一号が吹きましたね。 これは秋の暮れから冬の始まりに吹く木枯らしにおいて、風向きが北から西北西からのもので風速が8m/s以上のものを言います。西高東低の冬型気圧配置で吹く北風なの…

敵に見つかれ白と黒の戦艦 ダズル迷彩

敵に見つかれ白と黒の戦艦 ダズル迷彩 1914年6月28日、サラエボでオーストリア皇太子夫妻が暗殺されました。 これはオーストリアの一方的なボスニア・ヘルツェゴビナ併合に対してのセルビアの怒りが爆発したものだったようです。 7月28日にはオーストリアが…

庭の隅からお送りいたします。⑥ミノムシあれこれ

庭の隅からお送りいたします。 6.ミノムシあれこれ 寒暖差が激しくなり身体がついて行かず風邪気味のようになってしまいました。これからどんどんと気温が下がっていき本格的な冬がやってきます。人間はファンヒーターやエアコンをつけたり、色々と服を着こ…

タロとジロと一緒に南極へ行った猫 たけし

タロとジロと一緒に南極へ行った猫 たけし 人類は文明を発展させ様々な場所で繁栄してきましたが、それでも人類の棲息にはあまりにも過酷な土地というのが地球中には存在します。南極もまたその一つに数えて良いでしょう。 南極での奇跡的な生還を果たしたタ…

眠れない夜は哲学書を読もう①  ニーチェの「反キリスト者」

眠れない夜は哲学書を読もう① ニーチェの「反キリスト者」 「——これで私は結論に達したので、私の判決をくだす。私はキリスト教に有罪と判決する。私はキリスト教会に対して、かつて告訴人が口にしたすべての告訴のうちで最も怖るべき告訴を発する。キリスト…

庭の隅からお送りいたします。⑤命知らず?なスズメに注意

庭の隅からお送りいたします。 5.命知らず?なスズメに注意 春先になるとスズメが車道前に躍り出てぶつかりそうになることがある。不思議なことにこの命知らずなスズメが出てくるのは決まって春で、特に5月に入って増えて梅雨に入るともう見かけなくなる。…

『犠牲 わが息子・脳死の11日間』を読みました。

『犠牲 わが息子・脳死の11日間』を読みました。 主な登場人物 柳田邦夫氏…賢一郎、洋二郎の父親。この本の作者でありノンフィクション作家。 賢一郎氏…邦夫の長男。洋二郎の兄。 洋二郎氏…邦夫の次男。賢一郎の弟。中学生の時に目を怪我しそれ以降対人恐怖…

庭の隅からお送りいたします。④鵜について

庭の隅からお送りいたします。 4.鵜について 庭のすぐ横の川から水面を叩きつけるような音が数回鳴ったと思うと何かを水で洗うような大きな音が続いた。よくコイが跳ねるときに音が鳴るがそういったものとは少し違う様で連続的に緊迫感のある音が続いていた…

<ゼノンのパラドックス>で考える、完璧主義者はなぜ何もできなくなるか?

<ゼノンのパラドックス>で考える、完璧主義者はなぜ何もできなくなるか? 完璧主義。 すべてのことにおいて責任を感じ最善を尽くそうというその心構え。プロフェッショナルな仕事をこなすのであれば当然必要になるはずである。 しかしこの考え方は一歩使い…

科学的な人はホラーを楽しめるか?

科学的な人はホラーを楽しめるか? 書き捨て。 ある心霊ものの映像を見ていた。 曰く付きの部屋に住んでしまった主人公は数々の不可解な現象に遭遇していた。 自分以外誰もいないはずなのに視線を感じたり、足音が聞こえたりする。 洗面所で水が詰まり、奥を…